優先道路と過失割合

車同士・バイクと車の過失割合

交通事故の過失割合のうち、信号機のない交差点で一方が優先道路の場合における、直進四輪車同士の過失割合と、直進バイクと直進四輪車の過失割合をそれぞれご紹介します。
いずれも、基本過失割合と、それに対する修正要素が設けられています。
東京地方裁判所民事交通訴訟研究会編「別冊判例タイムズ」38号に掲載されている認定基準であり、【 】内の数字はその掲載番号です。


車同士の基本過失割合と修正要素 

信号機のない交差点において、直進四輪車同士で一方が優先道路の場合、基本過失割合と修正要素は以下のとおりです。

  • 著しい過失や重過失の意味等は、このページの後半に掲載します。

【105】  A B
優先・劣後の別 優先 劣後
基本過失割合 10 90



B明らかな先入 +10  
A著しい過失 +15  
A重過失 +25  
B著しい過失 -10  
B重過失 -15  


バイクと車の基本過失割合と修正要素 

信号機のない交差点において、直進バイクと直進四輪車の間で一方が優先道路の場合、基本過失割合と修正要素は以下のとおりです。

  • 著しい過失や重過失の意味等は、このページの後半に掲載します。

バイクが優先道路の場合

 【171】 A B
車両 バイク
優先・劣後の別 優先 劣後
基本過失割合 10 90



A著しい過失 +10  
A重過失 +20  
B明らかな先入 +10  
B著しい過失 -5  
B重過失 -10  

車が優先道路の場合

 【172】 A B
車両 バイク
優先・劣後の別 劣後 優先
基本過失割合 70 30



A著しい過失 +10  
A重過失 +20  
A明らかな先入 -20  
B著しい過失 -10  
B重過失 -20  


著しい過失

過失割合の基準において、基本過失割合は事故態様ごとに通常想定される過失を考慮に入れているため、著しい過失とは、それを超える過失をいいます。
車両一般の著しい過失の例として、以下のことなどが挙げられています(事故と相当因果関係がある場合に考慮されます)。 

  • 脇見運転等著しい前方不注視
  • 著しいハンドル・ブレーキ操作不適切
  • 携帯電話等の無線通話装置を通話のため使用したり、画像を注視したりしながら運転すること
  • おおむね時速15㎞以上30㎞未満の速度違反(高速道路を除く)
  • 酒気帯び運転

ヘルメット着用義務との関係

バイクの運転者にはヘルメット着用が義務づけられていることとの関係で、著しい過失と重過失について以下のように論じられています。

  • 頭部外傷の傷害を受けた場合等、ヘルメット着用義務違反が損害拡大に寄与しているようなときには、「著しい過失」に準じて、バイク側の過失相殺率を加算修正するのが相当であろう。
  • ただし、高速道路におけるヘルメット不着用は、重過失と評価すべきである。

重過失

重過失とは、著しい過失よりもさらに重い、故意に比肩する重大な過失をいいます。
車両一般の重過失の例として、以下のことなどが挙げられています(事故と相当因果関係がある場合に考慮されます)。

  • 酒酔い運転
  • 居眠り運転
  • 無免許運転
  • おおむね時速30㎞以上の速度違反(高速道路を除く)
  • 過労、病気及び薬物の影響その他の理由により正常な運転ができないおそれがある場合

また、バイク特有の重過失の例として、ことさら危険な体勢での運転なども挙げられています(事故と相当因果関係がある場合に考慮されます)。


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